
血糖が上がる原因として、インスリンの分泌力が低下することと、筋肉などの組織でインスリンの感受性が低下することの、二つがあります。
太ると脂肪の量が増え、インスリンの感受性が低下するので、血糖がますます上がって、糖尿病が悪化します。
最近、インスリンの分泌や効き目を改善する薬も出てきていますが、そうした薬に頼るより、インスリンの感受性を増すために、まず食事量を減らし、標準体重にすることが大切です。
太ると、糖尿病を悪化させるだけでなく、動脈硬化や高血圧などの生活習慣病も、合併しやすくなります。

ストレスは、過食、運動不足とともに、糖尿病の3大原因のひとつです。
そればかりか、病状を悪化させる大きな要因でもあります。
怒ったり興奮したり、時間に追われてイライラするといったストレスを感じると、体内ではカテコールアミンが大量に分泌されるので、インスリンの分泌や感受性が低下し、血糖が上がります。
そのため、毎日の生活からストレスを減らす工夫が、治療上も非常に大切です。
みなさんのライフスタイルにあった方法で、解消に努めてください。
最近普及してきた、自律神経を強くする訓練なども有効ですが、何より重要なのは、働き過ぎず、リラックスする時間をもつことでしょう。

運動療法に制限があるのは、合併症があって、しかも進行している場合です。
軽い合併症があっても、歩行など中程度の強さの運動であれば、まず問題はありませんが、走る、泳ぐといった強い運動は、かえって病状を悪化させます。
腎症、増殖網膜症、狭心症、眼底出血、下肢の動脈硬化による動脈の閉塞などがある場合は、禁止か、制限があります。
合併症の程度や年齢などの違いもあるので、状態に応じた運動を主治医に処方してもらい、その範囲内で運動します。

経口剤を服用し始めの頃には、よくあることです。
糖尿病は、規則正しい生活をし、薬も決められた時間に飲むのがよいのはいうまでもありませんが、1回くらい飲み忘れても、それで合併症が一気に進むことはまずありません。
SU剤などの朝夕に1回または2回飲む薬の場合、1~2時間程度の遅れならふだんの量をそのまま、数時間以上の遅れなら半分に減らして飲みます。
忘れたからと2回分まとめて飲むと、低血糖の原因になります。
食後過血糖改善薬のように食前に飲む薬の場合は、食後に飲んでもあまり意味がないので、次から忘れずに飲むようにしてください。
薬物療法の人が、ほかの病気の治療で薬を飲まなければならない場合、通常の、風邪薬や下痢どめなどの市販薬と飲み合わせる場合は、まず心配ありません。
しかし、鎮痛剤の一部で、血糖降下剤の作用を増強するものもありますので、気を付けてください。
合併症の治療などで複数の医師にかかる場合には、それぞれの医師に服用中の薬を、知らせる必要があります。
数ある薬の中には、低血糖の症状をわかりにくくするなど、副作用をもたらす場合があるからです。
また、ステロイド剤などは血糖を上昇させるので、必ず血糖測定しながら、経口剤やインスリン量を決める必要があります。
そうしたふれこみで、じつに多くの民間療法が出回っています。
しかし、それらの療法は治療効果の裏付けに乏しく、たとえ効いたとしても、効果は微々たるものです。
しかも高価で、だまされたも同然のものが少なくありません。
本当に効くなら、とうに治療に取り入れているはずです。
これらを信じて治療をやめてしまい、症状を悪化させる例がしばしばあるのは、残念です。
民間療法に惑わされず、糖尿病と仲良く生きる気持ちをもって、本来の治療に専念してください。

入浴は、運動と同じくエネルギーを消費し、血糖を下げます。
また、インスリンの注射の後に入浴すると、皮下の体温が上がって、インスリンの吸収が早まり、低血糖を起こす場合があります。
注射した周辺をマッサージするような洗い方も、吸収を促進するので注意してください。
経口剤の場合も、血糖が下がるので、注意が必要です。
入浴中の低血糖は発見が遅れやすく、溺れることもあります。
空腹時は避け、食後2時間くらいで入浴すれば、まず問題ありません。

頻尿になる一番の理由は、高血糖です。
糖が水分を伴って、尿として排泄されるために、頻尿や多尿になります。
これは、血糖コントロールをよくすれば、自然と改善します。
ただ、コントロールは悪くないのに頻尿になる場合は、膀胱炎や前立腺肥大、弛緩性膀胱(糖尿病性の自律神経失調症で、膀胱がパンパンに張り、尿が少量ずつしか出ない)が疑われます。
これらは高齢者によくみられるものです。
確かに、糖尿病の患者さんには感染症が多く、最近は結核が増えています。
コレステロールが原因の胆石に伴った胆のう炎も少なくありません。
感染症が多いのは、白血球の機能の低下や、高血糖で脱水になりやすいことが原因です。
脱水になると血流が悪化し、末梢まで白血球や酸素が行き渡らなくなり、細菌の増殖に都合のよい状態になります。
歯の治療や手術の時も感染症にかかりやすいので、医師に糖尿病を必ず伝えてください。

タバコは、血管を収縮する作用があります。
糖尿病の患者さんは、動脈硬化が進んでいることが多く、タバコの作用が、心筋梗塞や足の壊疽などの病状を促進します。
また、肺の感染症も起こしやすいので、まずはタバコをやめるのが先決です。